旅・アイルランド⑤

akiko_uk2006-04-17

5日目。
午前中はニューグレンジツアー。9時にオコンネル・ストリートにあるホテル前集合。LUASに乗れば10分で着くはずなのだが、どういうわけか電車がぜんっぜん来ない!あきらめて次のツアーに入れるかどうか電話で聞こうということになり、公衆電話を探して川沿いの道に出るとちょうどタクシーが通りがかったので、ダメもとで行ってみることにした。すると、まだお客さんが乗り込んでいる最中で出発していなかった!ラッキー!
バスツアーといっても、10人乗りくらいのバン。私たちは運転手さんの隣に座ることに。道中運転手さんとおしゃべり。
バスツアーといっても、ニューグレンジに着いてからは入場料も別に払うし運転手さんはガイドではない。ビジターセンターからまた別のバスに乗って遺跡まで行き、ガイドさんと一緒に行動するようになっている。
ニューグレンジは紀元前3000年頃に作られた。おそらくお墓であると同時に宗教的儀式にも使われたと推定されている。20世紀に入って発掘されるまで土に埋もれていたらしいが、内部には雨も入らず石も崩れていなかったそうだ。この近辺には大小のこうした石造物跡やそれが埋まっていると思われる小さな丘が散らばっている。5000年以上も前の昔の人たちが石を精巧に組み上げて作ったものが今も残っていることに感動。しかも冬至の日の日の出の光が入り口から差し込むように方角も計算されている。素晴らしい。(☆写真はその入り口)
遺跡からビジターセンターに戻り、バスが出るまで1時間強。センター内の展示を見て回る。当時、石器時代の人の生活の様子が面白い。
遺跡見学中に雨。出発する頃には晴れていた。
1時30分出発予定のバスだが、まだ誰かが戻ってきていないといって出発しない。運転手さんとアメリカ人親子と軽くおしゃべりしたが、日本人カップルは5時の飛行機に乗らないといけないとかで、イライラして待っている。15分くらいたったところで、「ところであと何人戻ってきてないの?」と運転手さんに聞くと「・・・あれ、これで全部だっけ?」
おいっ!
やっと出発することに。
帰りも同じ席だったので、運転手さんに色々質問してみた。アイルランド人の意見を聞く良い機会だ。
ギネスは冷やして飲むものなの?「キンキンに冷やしちゃだめだけど、冷やすものだよ。」知らなかったー。まぁロンドンはギネスに限らず冷えてない場合が多いんだけど。
Good Fridayのアラン島のレストランで、ビールは出せないけれどワインならいいって言われたの。そういうもの?「アラン島だから警察のチェックもなかったんだろうけれど。それは本当は違法だ。あるいはレストランで食事と一緒だから良いのかも。ダブリンなら違法承知で開いている店もなくはないが、そういう所もカーテンを下ろして開店してるようには見えないようにしているよ。」へぇぇ、そうだったんだ。
昨日パレード見たけれど、ずいぶん軍事色が強くない?「イースターの軍隊パレードは昔は毎年やってたんだ。今年久しぶりに再開できたんだ。良かっただろう?」運転手さんにとっては、イースターのパレードは軍隊のパレード、とにかくそういうもの、ということなんだろう。
アイルランド銀行(旧国会議事堂)前で降ろしてもらい、ダブリン城に近いパブで遅いランチ。
ダブリン城では最終16時20分のツアーに参加。ダブリン城は現在は大統領の就任式とパーティにのみ使われるそうだが、アイルランド独立前はイギリス政府の建物だった。映画『Michael Collins』にも出てきた、イギリス軍からアイルランド軍への移譲が行われたのも、ここダブリン城の広場だった。タクシーに乗って式にやってきたマイケル・コリンズは遅刻した。イギリス人の指揮官が「7分も遅れているじゃないか!」と怒るとマイケルは「私たちは700年も待たされたんだ。あと7分くらい追加しても何てことないでしょう?」と答えた、という逸話が残っている(映画にもそのシーンがある)。
ツアーが終わったのが6時頃。Temple BarのProject Arts Theatreに行き、夜の公演のチケットを買う。今年はサミュエル・ベケット生誕100年、そしてベケットの生地アイルランドでも数々のイベントが行われている。今回見たのは短編『A Piece of Monologue』『That Time』『Breath』『Not I』の4本を集めたもの。
近くのIrish Film Instituteのカフェでお茶をしてから再び劇場へ。
ベケットは今まで『ゴドーを待ちながら』を日本で1度観ただけ。今回観たものは全部一人芝居で、それこそ頭の中を巡るごちゃごちゃな言葉がそのまま台詞になったような、聞いていて全部理解するのは難しい。でも英語で韻を踏んでいることがわかったりもする。休憩時間で外に出ると、近くにいた若い男性が「どう思った?」と話しかけてきた。けっこう詳しい感じだったので聞いてみると、トリニティ・カレッジで英文学を勉強していて、今度ベケットが試験に出るとか。彼によれば(有名な話なのかもしれないが)、『Not I』を演じる女優さんがベケットに「これってお客さんが退屈しないでしょうか」と言ったところ、ベケットは「死ぬほど退屈させることこそがこの作品の目的なんだ!」と言ったとか。つまり、死ぬほど退屈する段階を超えると、あとはただ作品を全面的に受け止めることができる、という意味だと思う、とその学生さんは言っていた。
劇が終わってから、これまた雰囲気の良いパブStag's Headに行ってギネスを飲んだ後、テイクアウト専門のこれまた人気のあるフィッシュ&チップスのお店Leo Burdockに行ってテイクアウト。このお店は市内に少なくとももう1件支店があるけれど、ダブリン城脇のこのお店は深夜12時まで開店しているというめずらしくもありがたいお店だ。実は到着した日の夜もここで買ってTemple Barの広場に座って食べた。この晩はホテルに持って帰って食べました。昔の筆箱くらいありそうなどでかいフライに、これでもかというほど山盛りのポテトフライ。あぁ、カロリーたっぷりの食べ物って、どうして美味しいんでしょうね。