snookerの国

SNOOKERスヌーカーってご存知ですか?
ビリヤードに近いゲーム。似ているが、使うボールの色や数が違い、ルールも異なる。
今、イギリスで毎年恒例のスヌーカー・グランプリを開催中。連日BBCでも「スポーツ枠」で競技の様子を放送している。ちゃんとレポーターに解説者もいる。そう、スヌーカーはサッカーやゴルフと同様のスポーツなのだ。
プレーヤーは、一見すると野暮ったい、あるいはストイックな感じのお兄さんおじさん達だ。しかし、彼らが繰り出す華麗なショットの数々に、ルールはよくわからなくてもついつい見入ってしまう。グランプリに出場するくらいのハイレベルな人々なので、滅多にミスしない。冷静沈着に確実に、ボールをホールに入れていく。まるで手品を見せられているかのような気さえしてくる。「えぇ、そんな角度で!?」「ほー!」「ひゃー!」とつい独り合いの手を入れてしまうくらいだ。そんなの私くらいか?
サッカーは当然のことながら人気が高くテレビ放映も多いが、日本とは一味違うイギリスならではのスポーツ中継といえば、クリケットスヌーカー乗馬ダーツといったところだろうか。乗馬なら日本でもたまに放映していたと思うが、回数においてはイギリスのほうが断然多い。開催される乗馬大会の数も選手層の厚さも違うからだろうし、馬が好きな人は本当に多い。ダーツにいたっては・・・ほんとにスポーツだと思ってる!?とつっこみたくもなる。
そういえば去年のアテネ五輪の時は、国によって放送する競技の選び方が違うということを知らされた。自国の選手が活躍しそうな競技を放送するのは当然かもしれない。問題は(というほど問題ではないが)、イギリス人選手のそれと日本の選手のそれが重なることが非常に少なかったということだ。だからこちらでは柔道なんてほとんど見ることができなかったし、逆に放映されまくっていたのが、ボクシング、ボート、乗馬、陸上女子短距離と男子400メートルリレー。いずれもイギリスに数少ないメダルをもたらした選手が出場した競技だ。
しかしもっとも辟易したのが女子マラソン。あぁ、あの苛立ちは今も鮮明に思い出すことができる。カメラは全イギリス人の期待を一身に背負ったポーラ・ラドクリフをひたすら追う。彼女が快調に走っていた時はまだ良かった。ところがポーラは「走れなく」なり、ついには路肩に座り込み、顔をつっぷし泣き出してしまった。「なんということでしょう!ポーラ、どうしたんだ!」という感じのアナウンサーの絶叫とともに、そのかわいそうな姿を延々と映すカメラ。がしかし!その瞬間にもレースは進んでいるんだよ〜!日本人の野口や土佐や坂本も先に行ってるんだってば!早くレースを映してよ〜・・・という一日本人の願いも空しく、結局誰が金メダルだったのかすらわからないまま中継は終わった。消化不良なことこの上ない放送だった。
比較することに意味はないかもしれないが、日本のメディアはもっとバランスの取れた放送をするような気がする。それに日本人が出ていない競技についても結果だけは律儀に放送していたと記憶している。座り込んで泣く選手が出たら、そっとしておいてあげようという心理も働き、適当なところで先頭集団に映像を戻したりすると思う。
ちなみにラドクリフ選手は翌朝記者会見を開いた。応援してくれた皆さんに申し訳ない、という内容だったと思うが、棄権した理由を聞かれると「自分でもどうしてだかわからない」と断言していた。それもなんだかなぁ。ただの我儘にしか見えなかった。
1年以上前のことなのに熱く書いてしまいましたが、イギリスはそんな一面もあるのです。