フランスを旅行してきました

cows, cows

前回書いた直後の14日から20日までフランスに行っていた。ブリュッセルに出張の仕事があった友人と合流して、ブルゴーニュ〜カンヌ〜ボルドーと回ってきた。信じがたいほどに一日一日の密度が濃い旅だった。出発した日がはるか昔のように思える。
そして本当に心が洗われて穏やかになれた1週間だった。
その代わり、出発前はなかなか大変だったなぁ。なにしろ25日には事務所の所長交代パーティが控えていて、今の所長が在籍中に打ち合わせておきたい事も色々ある。仕事は山のようにたまっていた。しかし前々から計画していた旅行、ドタキャンする訳にもいかない。
14日の出発前日、夜11時頃まで仕事をしてからいったん帰宅して荷造りをし(それまでほとんどしていなかったのも何だが、その週は毎日残業で荷造りの余力がなかった)、午前4時にオフィスに戻ってなんとか火急の用件だけは片付けて、6時半にタクシーをひろってウォータールー駅へ。7時半発のユーロスターに乗り込んだ。久々の完徹だ。ユーロスターで熟睡しようと思ったが、わずか5ポンドの違いに惹かれて1等席を取ったことを若干後悔する。1等席では飛行機のように食事と飲み物がサーブされるから。といっても時間的には朝食が出てくるので、夕べから食事抜きだった私にはちょうど良いとも言えた。コーヒーとパンとフルーツサラダとヨーグルトをいただき、やっと眠ることができた。
ロンドンを出て3時間後(普通は2時間半で着くのだが、ドーバー海峡を渡る前、しばらく止まったり徐行運転をしていた。原因はわかったら報告するというアナウンスがあったが、結局何だったのだろう)、パリ北駅で友人と落ち合う。異国の人混みの中に友の顔を見つける瞬間は、何とも言えずうれしくてホッとするものだ。
そこからタクシーでリヨン駅へ移動し、ボーヌBeaune行きの切符を購入してTGVへ乗り込む。駆け込んだというほうが正しいか。乗った席の向かい側にはテキサスから旅行に来たというアメリカ人夫婦がいた。久しぶりに聞くテキサン・アクセント!
ディジョン駅でローカル線に乗り換え、ボーヌ駅に着いたのは午後3時過ぎ。駅前は・・・人影も客待ちのタクシーもなく、ブルゴーニュの爽やかな風がそよぐ中、閑散としていた。アメリカ人観光客グループが、ホテルまでどうやって行ったらいいかわからずウロウロしていた。タクシーを呼んだら30分待てとのこと。しかし15分後に現れた1台。電話で言われたのは青いバンだったが、ここに登場したのはシルバーのバン。でも聞けば乗せてくれるというし、わざわざ待っている手はないということで、荷物を積み、友人が「別のタクシーをつかまえたから結構です」という電話をかけに行ったその間に、本物(?)の予約したタクシーが登場。シルバーのバンも日本人2名の予約を受けていたらしく、その客と私達を取り違えたということだった。
すったもんだ&バタバタの時間が終わり、一路ホテルへ!
ボーヌは、ワインの産地ブルゴーニュの中心にある町だ。ホテルまでの道すがらは、ぶどう畑が続いている。ぶどうの木とはもっと大きいものなのかと思っていた。日本でぶどう狩りする木は、ちょっとかがんで上になる実を取る感じだったと思うが、ここの木はせいぜい腿の高さまでしかない。しかもこれ以上高く育てることはない。私達より大柄な人が多いフランス人にとって、収穫はさぞかし腰の痛くなる作業だろうと苦労を偲ぶ。
ボーヌの町、ワイナリーが並ぶSavigny-les-Beauneの村を通り抜け、BouillandのHoustellerie du vieux moulinhttp://www.le-moulin-de-bouilland.com/という所が私達が宿泊するホテルだ。山間の集落、と呼ぶにふさわしい、ぶどう畑と牧草地の間にぽつぽつと民家があるような、のどかなことこの上ない地域にあった。夕食までの間に、近所を散歩する。見渡す限りだぁれもいない丘陵地帯に、牛と馬と羊だけが散らばっている。とりわけ可笑しかったのが白い牛の集団。牛は好奇心が強い動物である。はじめは遠くにいたのが、私達に気づくと、なぜか肩を寄せ合って隊列を作り、じりじりと近寄ってきた。必ず最初の一歩を踏み出す一際好奇心旺盛な1頭が指揮官となり、他の牛たちも前線を進めてきて、柵の手前1メートルくらいのところまでやってきた。身体は白っぽくて鼻がピンク色、小さい眼のせいか、豚のような牛だね、と友人。☆写真はその牛前線です。
そこらじゅうに咲いている野の花たちも可憐できれいだった。あまりにもたくさん咲いていたので、私達の部屋に少しおすそ分けをもらうことにした。野原で花を摘んだのなんて何年ぶりだろう。
その晩の夕食はホテルのレストランでいただいた。いきなりのフルコースだった。カナッペ、前菜、箸休め、メインときて、チーズ、デザートまで。この上なく美味なお料理で、つい完食してしまった。普段、よほどのことがない限り、デザート前のチーズはパスするのだが、食後のチーズには消化を助ける役割もあるというどこかで聞いた話を信じ、すすめられるままにいただいてみたところ、これがまた絶品!!チーズってこんなに美味しかったっけ?
あぁ、 「フランスって良い国〜」とは、この旅で私が何万回も口にした台詞である。いや、イギリスから来るとね。食いしん坊の私は、ごはんが美味しいって何て幸せなことなんだろうとつくづく思ったのである。
以後、この旅における食事は、幸せに包まれる体験の連続だった。ホントです。

《この続きは次回》