電車に乗る時はご注意ください

テムズ河畔

☆今日の写真は、クリーヴランドの敷地内にある、テムズ河畔の風景。なかなか良く撮れたかなと。

さて、またまたクリーヴランドつながりの話になるが、ぜひとも書き留めておきたいことがある。
それは『電車に乗る時には必ず事前に切符を買いましょう』ということである。
日本では極めて当たり前のことであるが、イギリスの鉄道では、よほど乗降客が多くて、設備も近年新しくなった駅でない限り、改札する場所というものが存在しない。よって、現代的な自動改札があるか、改札そのものがないか、そのどちらかということになる。ロンドンのパディントン駅でもキングスクロス駅でも、入り口から電車の中まで行く人を遮るものは何もない。乗る前に窓口か自動販売機で切符を買って勝手に乗り込み、電車が走りだしてから、乗務員が切符を見て回る仕組みだ。私はまだそれほど鉄道による旅行をしていないのであるが、現代的な自動改札を通らないとホームに入れない駅は、今のところオックスフォード駅1つしか経験していない。
クリーヴランドにはパディントンから電車で行った。その時は時間に余裕もあったので窓口で切符を買えた。乗った電車の中ではちゃんと乗務員が切符を検めに回っていた。
それで油断したということもある。翌日ロンドンに帰る時、ホームの自動販売機で切符を買おうとしたらちょうど電車がホームに入ってきた。これを逃すとあと30分待たなければならない。いいや、乗ってから買おう、友人とそう決めて乗り込んだ。ところが乗務員はいつまで待っても回ってこない。
結局そのまま終点パディントンに着いてしまった。ホームにはなんだかたくさんの駅員がわらわらと立っていて、電車から降りてくる乗客から切符を取っている。そのうちのひとりに「あのー、切符が買えなかったんですけど」と言ったら、別の駅員がぬっと現れた。大柄なおっちゃんだ。
ところがそのおっちゃん駅員は、何やらおもむろに伝票の束みたいなものに書き込みながら、あろうことかこう言い放った。
「じゃあ罰金払ってもらうよ。」
は?
「ほら、ここに貼り紙がしてあるだろ。乗る前に切符買わないと罰金払うんだよ。」
何だそれ?
たしかに小さい貼り紙があるけれど。そんなの降りてから見せられたって何の意味がある。
おっちゃんが書き込んでいるのは、なんと違反切符だった。
「そんなこと言われたって知りません。そんな貼り紙、私たちが乗った駅にはありませんでした!」
おっちゃん「いーや、貼ってあったはずだ。」
私「でも見てません!」
おっちゃん「じゃああんたは降りた時どうするつもりだったんだ?そのまま黙って駅の外に出るつもりだったんじゃないのか?」
「そんなことするわけないでしょ!だいたい乗ってから買おうと思ってたのに乗務員が回ってこなかったじゃないですか!」
おっちゃん「それはオレの知ったことじゃない。オレの仕事はこうやってお金を集めることだけだからな。」
さすが、自分の責任の範囲を限定することに長けたイギリス人が言いそうな台詞である。
「こんな非効率的な運賃の集め方、信じられない!あまりにも非効率的です!乗る前に必ず料金を徴収する方法があるでしょう!?(日本の素晴らしき鉄道システムが脳裏に浮かぶ)」
おっちゃん「意見があるならここに連絡してよ(と違反キップの一ヶ所を指し)、あ、ここには住所しか書いてないけどね。オレの名前はここに書いてあるから。」
クレームをつけるにはわざわざ手紙を書けってことかい!
・・・気がつけば友人は私に(もういいから払って出ようよ)光線を送っている。
鼻息も荒く、むっとしたままお金を払い、ご丁寧にサインまでした違反キップを受け取り、憤然と駅を出た私。
イギリスの鉄道会社よ、ぜひ日本に行ってその素晴らしく整然とした鉄道事情を学んでほしい。こんなバカげた罰金システムを密かに実行するより、何百倍も効率が良くてお客を不愉快にさせない制度が世界には存在するのだ。日本にだって無賃乗車などの問題はあるけれど、少なくとも乗ってから精算することだってできるし、だいたい駅員さんはもっと親切だ(自然と「さん」付けにもなる)。上に再現した会話は、実際は英語だけれど、日本語に直したら確実にこういう口調だった。
後で聞いたところでは、私の同僚も同じ手口にひっかかって(ほとんど犯罪扱い)罰金を払った人がいたし、ブレア首相夫人ですらひっかかってしまったことがあるそうだ。
ああ、思い出しただけで腹が立つ。イギリスなんて、民主主義の先進国じゃないやい!