ケンブリッジへ半日

Clare College, Cambridge

☆写真は今日訪れたケンブリッジClare Collegeの風景。川が流れていて、パンティングをしている人たちもいた。

今日はなかなか忙しい一日だった。
午前11時から、ロンドンの日本商工会議所の理事会というものに呼ばれて出席。といっても、元駐日大使Sir Hugh Cortazzi(サー・ヒューとお呼びする)の脇役として行っただけだが。
サー・ヒューは皇太子殿下がオックスフォード留学のご経験についてお書きになった本『テムズとともに 英国留学の二年間』の英訳をなさった。今回は商工会議所のお歴々にその翻訳本の宣伝をすることが目的である。私は翻訳の「お手伝い」をしたので、一緒にお呼ばれすることになったのだ。
普段、民間企業の方とのおつきあいはそれほど多くない上、出席者は皆さん、支社長、支店長、社長・・・いや〜、そんな場所に呼んでもらえるなんてすごいなあ、と他人事のように感心。サー・ヒューのお話の後には、「一言どうぞ」と会頭に促されて、私も一言述べさせてもらった。
1回は笑いも取ったし(ってそういう場か!?)、私の発言もまずまずの出来だったかしら。しかし会場を後にし、サー・ヒューともお別れしてから、「退室する前はこういう風にご挨拶すれば良かったかも」とか「あそこはああいう風に言えばもっと良かったのかなあ」とか「民間企業に行った同じ歳の人だったらもっと上手にプレゼンできたのかな」等々、けっこう細かいことを気にする性質な自分を再確認し、少々自己嫌悪。
なお、この翻訳本については後日改めて書いておきたい。
さて、いつまでもくよくよしてはいられない。午後2時からケンブリッジの会議に出席しなければ。いったんオフィスに戻り、関係書類を鞄につめなおして出発。
考えてみればケンブリッジに行くのは初めてのことである。学生時代に一度行ったつもりになっていて、駅から乗ったタクシーの運転手にも「いやー10年以上ぶりだよ」などと言ったが、今落ち着いて考えてみると、一度も行ってなかったんじゃないか。オックスフォードと混同したらしい。バカですね。
ケンブリッジのClare Collegeクレア・カレッジ内の会議室を会場にして「Japan Politics Colloquium」という会議が開催されている。今回でもう13回目だそうだ。その会議に基金が助成をしていることもあり、また顔見知りを増やすために傍聴するのが今回の訪問の目的である。
会議は30人程度の小規模のものだが、日英米の研究者が日本の政治、経済、行政、社会について発表をし、参加者同士で議論を深めるというもので、さすが専門家同士の集まりなだけあって知識の量も鋭い分析も相当なものだった。拝聴に値する2時間半だったと思う。
会議終了後は参加者と名刺交換したり、興味ある発表をされたのに聞き逃してしまった研究者に論文を送ってくれるよう依頼したり。学者さんとの顔つなぎのため来たという英国外務省の東アジア担当分析官とは、今度外務省を案内してもらう約束を取り付けた。面白そう、ラッキー。
クレア・カレッジは構内がかなり広く、大きな庭園もある。そして隅々まで手入れが行き届いている。ひとつひとつのカレッジがそれほど大きくはないオックスフォードとはまた雰囲気が違うような気がした。今日は天気も良好で、太陽の光と、草花と、石造りの歴史ある建物群との風景が何とも美しかった。また、ちょうど通りがかったCambridge University Pressという出版社直営の書店もひやかしで入ってみた。試しに人類学関係の書籍のパンフレットをもらい、帰りの電車の中でめくってみる。世の中には、実に様々な研究をしている人がいるものだなあとつくづく感心。
今回の旅も、因縁の(昨日のログをご覧ください)鉄道を利用する。今回はおとなしく、ロンドンのキングスクロス駅で電車に乗る前に往復チケットを購入しているので問題はなかった。線路の両側には菜の花畑が広がっている地域があり、あるいは羊がいたりして(今の季節は子羊もいてカワイイ)、心が和む景色をしばし堪能。そういえば「菜の花」は英語で何て言うのだろうと思って辞書を引いてみたら「rape blossoms」と出てきた。不思議な名前だ・・・。
ん、待てよ?そういえば帰りのケンブリッジは駅で改札もなかったし、電車の中では乗務員も回って来なかったし、キングスクロスに着いてからも切符回収がなかった・・・。何なんだ〜!