乗馬

今朝、ロンドンに来て初の乗馬をした。場所はハイド・パークHyde Park。公園北側に位置するランカスター・ゲートLancaster GateそばにあるHyde Park Stablesの乗馬学校にレッスンを申し込んでいた。Stableのサイトはこちら→Horse riding, horse riding lessons, arena riding lessons in Hyde Park London
朝8時前に厩舎集合。厩舎のあるミューズMewsという、かつては本当に厩舎だった一角に入ると、とたんになつかしい馬独特の香りが(includingフンの臭い)。そこから先生の乗る馬と一緒に公道を渡って公園へ入り、園内にある乗馬用に土を敷いた道を使って練習する。乗り始めた時は雨がぱらついて、本降りになったらやだなあと思ったのだが、幸い雨はあがってくれた。
最後に馬に乗ったのは、たしか10年近く前。とにかく久しぶりだったのと、厩舎のしきたりや教え方も場所によって色々違うので、自分のペースに合わせてもらえてなおかつ色々質問もできる、一対一のレッスンにした。1時間で50ポンドと少々高いが、都会の真ん中で、プライベートレッスンという条件を考えれば、それもまあ良しとしよう。
緑の中を颯爽と馬をかけらせた・・・のではなく、大部分はただ歩かせる並足だけだった。時折、軽早足で走ってみる程度。先生も私のレベルの様子見だったのだろう。それで軽早足ちょこっとだけだったということは、きっとかなりぎこちなかったに違いない。10代を過ごした北海道に、昔はケンタッキーファームという牧場があった。施設全体が少しアメリカの西部風な造りになっていて、バーベキューをしたり乗馬を体験したりできる、それは楽しい場所だった。そこに年に1回か2回家族でドライブ旅行をしていて、その時レッスンを受けていたのが乗馬を始めたきっかけである。1年留学したアメリカの高校では、なんと学校の選択授業に「乗馬」があった。いかにもアメリカ東部のニューイングランドらしい。入ってみるまで知らなかったのだが、実はお嬢様学校だったため、自分の馬を連れてきている生徒も数名いた。自分の馬を所有する!信じられない。しかも寄宿学校だったので、遠方の実家からトレーラーに乗せて連れてくるのである。とにかくそんな同級生に混じって半年間、週1回ずつ練習できたので、最後の頃は簡単な障害ジャンプをできるようにまでなっていた。
その後大学時代も何度か乗ったが、だがしかし、かなり長い空白の期間を経ての今日の乗馬だった。やっぱり緊張していたと自分でも思う。
私が今朝乗った馬(名前をジェームスという)は先生が乗る馬にくっつきたがり、しかし先生の馬はこちらが近づきすぎるのを嫌うので、「軽早足の時は少し間隔を空けてください」と先生に言われたのだが、ジェームスは私の指示を聞いて離れてもまたすぐ元に戻ろうとするので、なかなか難しかった。ジェームス〜、頼むよ〜・・・という私のつぶやきは、ジェームスの耳に届いただろうか。両耳を横に向けてくれたので(馬の耳は普段前を向いている)、一応聞いてくれたのかもしれない。たぶん。最後の方は多少空間を作ってくれるようになった。
しかし、並足で進む時間が多かった分、周囲の景色を楽しむ余裕もあった。朝のハイド・パークは人も少なく、公園を囲む道路の通勤ラッシュはすぐ隣にあるのに、なんだか別世界のように静かだった。白鳥がブイのように等間隔に浮かんで眠っている。木々の間の芝生には、もうあと少しで開きそうなクロッカスやラッパ水仙が広がっている。散歩に来ていた犬が馬を怖そうにじっと見ていたりする。こういう景色を楽しめるのなら、これからもここに通ってみてもいいかなと思えた。
ランカスター・ゲートから入り、サーペンタイン池の脇を通ってハイド・パーク・コーナーまで行き、進路を北に変えてドーチェスターホテルなどを右手に見ながらもと来た道に戻るというルートだった。けっこうな範囲を回ったものだ。レッスンは1時間で終了。会社までは20分足らずで行けるので、9時に終われば9時30分の始業にもちょうど間に合う。仕事前に乗馬レッスン、というのも我ながらなかなか贅沢な時間の使い方じゃのう、と悦に入る。
が!しかし!乗馬の経験がある方はおわかりかと思うが、乗った後は、膝が閉じられない。早く歩けない。おまけに腰もちょっと痛い。予想はしていたので仕事着(会社に着いてから着替えた)はパンツにしたのもやはり正解。明日はもっとひどい状態になるのだろうか・・・。