オックスフォードのコレッジ対抗ボートレース

Torpids

昨日オックスフォードに行った。ロンドンのパディントン駅から電車で1時間弱。日本から遊びに来ている友人と、その彼女の幼馴染みで私も偶然こちらで知り合いになった女の子と3人で会うためだ。ちょうど開催されていた、ボート(英語でRowing)のコレッジ対抗戦を観戦した。
オックスフォードでは各コレッジにボート部があって、市内を流れるテムズ川を会場に、毎年この時期と5月頃に対抗戦が行われており、それぞれ「Torpids」と「Summer Eights」という名前がついている。オックスフォードのボートレース、始まったのは1815年というから相当長い伝統がある。1回のレースに12チームが出場し、8人乗りのボートを1.5艘ずつあけてスタートさせて、ゴールするまでの間に直前を走るボートのクルーに接触することができれば、その時点でそのチームの勝利が決まる。別名「Bumps Racing」(=衝突レース)、実際に船体同士をぶつけるわけではないが、前のボートに迫りbumpするか逃げ切るかの駆け引きが面白く、観ている方も白熱する。他にも色々なルールがあるのだが、複雑なので私には把握しきれない。興味のある方はこのサイトがわかりやすいようですのでどうぞ。 
当然といえば当然だがボートはスピードが速く、かつ川はゆるやかに蛇行しているので、視界の届く範囲で観戦できるのは時間にしてわずか5分程度。しかし日本から来た友人は開催期間4日間毎日観戦しており、最終日の昨日の時点ではすでに観戦のベスポジも把握済み。スタート地点に最も近い橋の上で、男子と女子のレースをひとつずつ観たが、ボートのレースはほとんど知らない私にとってもなかなかに面白かった。川原には出身コレッジや友人を応援する人がけっこう繰り出していた。男子のレースでは、私たちが立っていた橋の下で早速bumpできたチームがあったらしく、橋の下からその姿を現した時にはもう全員が両手を挙げて勝利を喜んでいた。スタートしてからまだ1分やそこらで結果が出てしまうこともあるのである。
どのコレッジが出ているかは、ユニフォームとオールの色と柄で識別する。船の先頭に座り選手側を向いて指示を飛ばすコックスは、男子チームの場合女性が多かったのだが、なぜだろう。コックスはメガホンを使うのかと思っていたら、マイクとスピーカーを使い、最後尾の選手まできちんと声が届くようになっていた。軽いカルチャーショックだった(映画『がんばっていきまっしょい』のイメージがつい・・・)。また、マラソンの伴走のごとく、自転車に乗ったコーチが川沿いの小道を船について走る。小道は舗装されておらず、このところの雨や雪のせいで至るところに水溜りもある。おまけに観戦する人があちこちに立っている。彼らも転ばないでゴールできるのだろうか。ちょっと心配になった。
しかし、このところ雪も降り冷え込みの厳しいイギリスにおいて、川の冷気をたっぷり含んだ風を受けながら橋の上に立っているのはかなりな難行であること、想像していただけるだろうか。もっとも船の上の選手が感じる寒さよりはましなのかもしれない。冬場はどんなにウォームアップをしても身体が温まりにくく、汗もほとんどかかないのだそうだ。
レースを観終わった私たちは、途中クライスト・チャーチ・コレッジを通って食堂(映画『ハリー・ポッター』の撮影に使われたところ)などを見学してから、ハイストリートの喫茶店「The Rose Room」で紅茶とスコーンとケーキをいただき、冷えた身体を温めた。お茶を飲みながらの女3人本音トークは、レース以上に楽しかった。
ハイストリートに向かう途中通りがかった川沿いのパブでは、レース終了後早速祝杯をあげているチームも見かけた。さすがイギリス、パブは生活の一部である。パブの外には泥水に浸してから引っ張りあげたかのような泥だらけ自転車が何台もとめてあった。お疲れ様である。