ノッティング・ヒルにて

引越しを考えている友人につきあってノッティング・ヒルに貸し部屋の見学に出かけた。目指すはNotting Hill Gate駅から徒歩約5分、大通りから一歩入ると白壁のお家が奥の突き当たりまでずらっと並んだ、その奥に限りなく近いところ。Third Floor(4階建)まである建物の、1階&地下の部屋である。ひとりで住んでいる大家さんが間借人を探しているという情報であった。
家賃が極めて高いロンドンの中心部では、3〜4階建の邸宅があってもまるごとをひとりが使っていることはめずらしく、こじんまりとした家の場合、1フロアずつ区切って借し出している。従って玄関とそこから続く階段(たいていは階段のみで、稀に荷物用のエレベーターが付いている場合もある)が、その建物の住人の共有スペースということになる。
今回貸し出されているのは、地下にあるベッドルームと付属の小さな物置スペース、それにバスルーム。リビング・ダイニング・キッチンは1階にあり、大家さんと共有になる。大家さんはお仕事のため世界中を飛び回っていて、1ヶ月のうち1週間しか滞在しないとのこと。残りの時間をひとり占めにできるのは魅力的である。内装も全体的にこぎれいで、今回貸し出される部屋は壁のペンキを塗り替えたばかりでピカピカ。加えてノッティング・ヒルというなかなかに素敵なエリア。これは掘り出しモノかもしれない!ちなみにお家賃は日本円にして約12万円。間借りなのにその金額?と言われるかもしれないが、家賃の高いロンドンでは、立地条件や部屋の状態を考えればかなり良い案件であるといえる。
だが、肝心の大家(男性)、今晩から出張に出なければならないという気ぜわしさのせいなのか、いまいち「貸す気」が感じられない。それに、近隣の安全性について尋ねたら、「ノッティングヒルに住んだことないんですか?○○の方面に行くと危険だけど、この通りの辺は安全です。」と小ばかにしたような表情で返された私はカチンときた。女性の一人暮らしとしては気にして当たり前のことである。そんなデリカシーのない大家なんてイカン!と思っていたら、どうやら友人は、ベッドルームの日当たりの悪さ(窓はあるが、なにせ地下なので)やバスルームが古いことなどが気になったらしく、他を探すと言っていた。良かったかも。
家を見たあとは、地下鉄駅に近い角にあるカフェ「mook」にてお茶。昼間はとても日当たりの良いカフェで居心地が良かった。きっと夜はオシャレなバーになるのだろう。が、とても美味しそうな料理を作っているシェフの見事なカッパ禿げが印象に残ってしまった。