テロ未遂

週末にロンドン市内とスコットランドグラスゴー空港でテロ未遂事件があり、早速犯人が逮捕されました。
こちらでは誰もが至って冷静、急に警官が増えたり警備が厳しくなったりという場面もまったく見られず(もしかしたら空港はまたちょっと厳しくなっているのかもしれませんが)、日常生活はいつもと何ら変わりなく続いています。たしかに、いつどこでテロが実行され、それに巻き込まれるかわからないという不安はありますが、それは2年前の7.7からずっと続いていたこと。またこの2年間で、7.7や7.14のの犯人や関係者の逮捕が散発的に発生していたので、この週末を境に突然危険度が増したという感覚もなければ、この週末の事件が英国市民を恐怖のどん底に突き落とした、という印象もありません。

むしろ国外のほうがこのことを大きく報道していて、無用に不安を煽っているような気がします。まぁ事件の報道ってどうしてもその現場しか見えないから、1つそいうことがあるとその国全体が危険なイメージになってしまうのは、よくわかるんですけれども。

日本の家族や友人から「大丈夫?心配しています」というメッセージをもらうのですが、かえって「え?なんで?別に大丈夫よ。」という感じです。急に出張や旅行を取りやめたという話もちらほら聞こえ始めていますが、これも「え?なんで?大丈夫じゃない?」が正直な感想です。

今回の事件が前回と違うところ、その1。すでに逮捕された8人全員がNHS(健康保険の組織で公立病院を運営)の医療関係者であることが波紋を呼んでいます。7人が医師または研修医、1人が研究技師であるそうです。おそらく全員が外国籍。NHSは急遽、全国規模で職員の身元確認を行うことを表明、まずは医師からはじめて、次にその他の職員を対象に実施するそうです。6人はいずれも外国籍、うち2人はJunior doctor(研修医でしょうか?)だったそうなのですが、Junior doctorは就労ビザが不要の特殊技能保持者と見なされることから、入国審査の抜け穴になっているのではないかという指摘もあります。
その2、テロの道具が、爆発物を積んだ車であったこと。まるでイスラエルイラクで耳にする手口です。2年前のテロは「イスラム系の男性」と「大きな荷物(その中に爆発物)」キーワードでしたので、ムスリムの人々はかなり不当に白い目で見られるようになってしまったと思います。空港の入国審査も明らかに日本人なんかより厳しいし。それが大き目のスポーツバックでも持っていた日には、電車の中でも警戒の目を向けられてしまう感じでした。でも今回は、駐車された車が突然爆発するかもしれないという新たな手口。英国、特にロンドン市内は家やマンションに駐車場がない場合が多く、路上駐車が極めて一般的ですので、気にし始めたらもう一歩も外に出られないでしょう。