千葉で起きた英国人女性殺人事件のことはこちらでもニュースになっています。
今日手にした無料夕刊「londonpaper」にも『プライベートレッスンが死につながった』というタイトルで記事を載せていて、在りし日の被害者と友人や恋人との写真を3枚も掲載しています。
記事本文には、被害者が「...may have died at the hands of a weirdo loner」(孤独な変人に殺害された)と書かれており、これは日本に滞在している被害者の父親が記者会見で犯人のことを「sad loner」(孤独でみじめな人)と言ったとされることと関係していると思われます。
また被害者が「...may have broken the strict rules of the language school where she worked, barring staff from taking on private students.」(勤務する英会話学校では、スタッフが生徒にプライベートで教えることを厳しく禁止しているが、彼女はその規則を破っていた可能性がある)とも伝えています。
更に、被害者を悼むメッセージが、彼女が加入していたfacebookミクシィと同じようなものかと思われます)に大量に寄せられている、と報じています。

その後、主要紙の報道振りも見てみました。日本にいる特派員が書いている記事は日本の報道とほとんど変わりません。ただそこに書かれている「読者コメント」はなかなか興味深いものがありました。純粋に冥福を祈るコメントはもちろんですが、日本を批難するもの(「日本が男性優位社会である限りこういう事件はなくならない」「自分も同じ英語学校で働いていたが、日本人はセクハラに対する意識が低い」など)、日本という国のせいではないとするもの(「この事件のせいで日本が危険な国だと思われるのは残念だ。どこの国にも危険な人はいる」「男性優位の意識を持っているのは西洋人男性だって同じ。」)、彼女の行動に落ち度があったとするもの(「見知らぬ男性と2人きりにならないように用心するのは常識ではないのか」)・・・。

ほんとにねぇ、こういう事件がひとつあると、海外にいる日本人がその国の代表として白い目を向けられてしまうこともあるわけで、本当に残念ですし、いい迷惑です。もちろん、すべての日本人が西洋人女性を殺して回るなどと思う人はほとんどいないでしょう。でも、こと英国に関しては、太平洋戦争時代の捕虜問題から誘引される「日本人はひどい人たち」という偏見が今もってくすぶっているのです。だから映画『ブリジット・ジョーンズの日記』でも、中流家庭の母親の典型みたいなブリジットの母親が、マーク・ダーシーと離婚した日本人の前妻を指して「Cruel race!」(残酷な人種よね!)と吐き捨てるように言ったりするのです。一般的に若い人はそう思っていない、というかそういう過去に対する関心がそもそも低いようですが。
良いイメージを築くには時間がかかりますが、それをぶち壊すのは本当に簡単なんですよね。