EBIZO

akiko_uk2006-06-07

現在、サドラーズ・ウェルズ劇場(☆写真)にて海老蔵さまの公演が催されています。この2年間で、イギリスに歌舞伎公演が来たのは初めてです。
私も同僚とともに、5月31日の初日を観てきました。
演目は「藤娘」と「かさね」。
観終わった感想は一言:
いやぁ、やっぱり歌舞伎っていいもんですね!
水野晴郎か?)
久しぶりに観て、歌舞伎ってなんて完成度の高いエンタテイメントなんだろう、と感心するとともに、そんな歌舞伎の伝統を作り上げ楽しんできた国が自分の祖国であることが、誇らしくさえ思えました。

今回の公演、舞台にあがるのは海老蔵さまと亀治郎さまと、あと2人だけ、地方と鳴物も最小限の人数のこじんまりとした舞台でしたが、裏方も含めると全体で60人のご一行なんだそうです。
團十郎さんと奥様も見学にいらしていて、私は奥様のお姿を拝見しただけでしたが、なんだか息子の晴れ姿を海外まではるばる見にいらした親御さんらしい表情をしていらしたような気がします。
幕が上がる前のドリンクレセプションで、今回の公演のパンフレットに解説を書いたSOASのアラン・カミング先生としばし立ち話。アランさんには5月3日の池澤夏樹さん講演会でもモデレーターを務めていただいたのですが、日本語がほんっとうに達者です。前日、海老蔵さんがテレビのインタビュー(特定のテレビ局ではなく、ニュースを配信する会社らしい)を受けた時には通訳したそうです。

さて、舞台は、日本でのそれに最大限近づける努力が感じられました。ちゃんと花道もありましたし。客席の一部をとっぱらってあれを設営するだけでも相当大変だったと思います。ちゃんと大向さんも何人かいて「成田屋」と声がかかるのもなつかしい(日本から来てもらったんでしょう)。舞台は静かに見るもの、拍手は演技が終わってからするもの、ということが自然になっているこちらのお客さんは、拍手はするわ、わけのわからないタイミングで何度も声がかかるわで、最初は戸惑っている感じがしました。やっぱり歌舞伎は、日本のようにもっとたくさんの声がかかって拍手も大きいのが、雰囲気が盛り上がって良いですね。
華やかな「藤娘」、ドラマ性たっぷりの「かさね」2つの演目とも、とても良かったですよ。個人的には躍動感のある「かさね」のほうが面白かったのと、女形玉三郎さんのような妖艶な感じのほうが好きだなぁ、と思いました。あと、「海老蔵さんって歌舞伎役者が本業だったんだよなー」などと不謹慎なことも思ってしまいました。いやだって、ドラマにCMに、歌舞伎以外の世界での海老蔵さんの露出度ってかなり高いですものね。

11日(土)の楽日まで、公演が始まる前からチケットはほぼ完売だったと聞いています。日本から観にいらっしゃる方も少なくないようです。職場の元同僚も1名来る予定ですし。

それにしても、大向さんの声をかけるタイミング、昔はさっぱりわからないと思っていたのですが、今は少し間合いが理解できるようになってきた感じがして、自分も歳を取ったもんだなぁと思いましたです。