フランスを旅行してきました 5

akiko_uk2005-06-01

しばらく時間がたってしまったが、まだ冷めやらぬフランス熱。旅行の報告の続きをしたい。
4日目、昨日の夜更かしがたたってか昼前に起床。バスに乗ってカンヌの町へ出る。
今日は、やはり仕事で映画祭に来ている川喜多財団の友人と会う約束だ。でもその前に朝昼兼用のごはんが食べたい。ということで、「Lotus」という名の中華料理屋へ行った。
ランチの時間ではないのに、けっこうにぎわっている。しかも、よく見ると半分以上が日本人グループだ。みんな映画祭も後半に差し掛かってくると、洋食にも飽きてくるんだろうなぁ。
席は2テーブルも空いているのだが「ここに座ってメニューでも見ながらちょっと待ってて。今席を作るから。」と言われ、仕方なく8人くらいは座れる一角に座って待っていた。
するとまもなく別の日本人ご一行が来店。どうも予約客らしいのだが、彼らも席が足りなくて困っている様子。どうするんだろうなぁ、と思いながらぼんやり見ていたら、むむむ!一行のうちのひとりは、なんと浅野忠信さんではありませんか!しかもどうしたことか、えらい長髪を後ろで結わえている。(次回作の役作りのためだそうだ。後で知ったがその次回作でチンギス・ハーンの役を演じるらしいです。)
へ〜、じゃあ、一緒にいる人たちは配給会社の人たちとプロデューサーとかなのね、なんかやたらと気を遣ってるもんねぇ。
と思っていたら、私たちが広い席に居座っているのを目ざとく見つけた男性のプロデューサー(推定)が、通訳らしき日本人女性に向かって、
「ちょっと、あそこどけさせろよ。こーゆー時は強く出ないとさぁ。」
と言っている。丸聞こえ。それに私たち日本語めっちゃわかるんですけど
カチーン、ときた。私たちだって何も好んで席を占領しているわけじゃない。いったい何様のつもり!?世界の浅野忠信様をお連れしているからって、あんたが何やっても許されると思ってるわけ!?
早速に通訳の女性が店員と交渉。え?バリバリアメリカ英語じゃん。フランス語通訳は用意できなかったのだろうか。
店員がやってきて、「今、今席を作りますからね〜」と言ってどかされた私たち。でもすぐ席は出来上がらず、5分くらいも立って待たされた。余計に「浅野様ご一行に席を譲らされてふてくされる女子2名」の図になってしまったじゃないか。浅野さんにはこれっぽっちのうらみもない。プロデューサーが頭に来るっつーの。
それでも友人は「浅野さん、いい人だね。お辞儀してくれたよ。」と言っていたけど、私はふくれてそっぽを向いていたのか見逃してしまった・・・。
後で知ったが、ご一行の中には浅野さんのお父上もいらした。浅野さんよりなんだかアーティスト、というかミュージシャンのような印象の人だった。
やっと席に着き、食事にありつく。
と、友人が「あの通訳、大学のひとつ下の後輩じゃない?たしか○○だよー。」と言う。私と友人は大学2年の時、新入生のお世話役(ヘルパーと呼ばれていた)をやった。だから友人はちゃんと覚えているのだろうか。ん〜、そう言われればああいう感じの子がいたような〜。記憶が定かではない。
と、横の席に座っていた日本人男性2名が店を出る。するとそのうち1名は、ユニ・ジャパンの西村隆さんではないか。今年に入ってから一度メールをいただいていたので、ご挨拶した。
私が視聴覚課にいた頃、西村さんは、プロデューサーであると同時に、ニュー・シネマ・フロム・ジャパンの中心人物のおひとりだった。その頃、海外の映画祭のマーケットに自力で出展できるのは、ごく一部の大手配給会社に限られていた。ニュー・シネマ・フロム・ジャパンは、そうではない独立系の作品のいわば代理店として、海外の映画祭やマーケットに紹介する組織だった。組織といっても、数人のプロデューサーさんが集まって、ほとんど手弁当で運営していた。1997年にベルリン映画祭にブースを出したのが最初だったと思う。そしてその活動を国際交流基金は支援していた。
時がたち、海外への日本映画紹介活動には文化庁も支援を始め、継いで経産省も映画は「コンテンツ産業」の重大要素のひとつとして扱うようになった。西村さんもユニ・ジャパンの事務局長として、これまでの経験を活かされている。今年からはカンヌ映画祭のマルシェへの出展も経産省が支援を開始した。
というわけで、西村さんと一緒に食事をしていたのは、経産省のお役人だった。私よりちょっと歳上くらいか。その人から言われた言葉に、その日2度目のカッチーン
「いやー、そうですか。国際交流基金さんも、もっとこういう活動を支援してくださいよー」
あのですね、経産省、いや通産省が映画なんて見向きもしてなかった時から、基金は日本映画の海外紹介をお手伝いしてたんです。それがぽっと出のあんたなんかにデカイ面して言われたくないわい!!と言いたかったが、ここで口論を始めるのも面倒なので適当に聞き流した。
でもやっぱり言っとけばよかったかも!
《続きは次回》