イギリスの郵便事情

mail

「あわや、詐欺」の続き。

郵送された小切手がなくなる。これはこの国ではよく聞く話である。
小切手やクレジットカードの類は、封筒の上から触ってわかってしまうから。
誰が盗むのか?ふふふ、それは十中八九、郵便局員である。
この国ではだいぶ前から、郵便局での仕分けや配達の段階での郵便の紛失・盗難が問題になっていて、社員による組織的な犯罪という説もある。去年、隠しカメラで撮影された証拠映像が公表され、世間一般に非常に大きな衝撃を与えたらしい。私自身も、去年BBCのテレビ番組で「ずさんな郵便配達」を裏付ける映像を見た。あろうことか、業務時間が終了した配達員が、時間内に配達しきれなかった郵便物を郵便ポストにドサドサッと「投函」していた!
ありえない・・・!
私の同僚も、日本の家族から送ってもらった小包をなくされたことが数回あると嘆いている。

また、こちらでの郵便配達の原則は、「受取人の名前」ではなく「住所」が基準なのだと聞いた。従って、私の家にも、まったく同じ番地なんだけれども全然知らない人宛の郵便物がたくさん配達される。全て、私より前にこの部屋に住んでいた人たちのものと思われる。しかも、私の直前だけでない、何代にもわたっている様子。あんまり多い上に、中には住民税や水道料金やローン返済の督促らしきものまで入っていてちょっと気持ちが悪いので、封筒に差出人が書いてある場合には、極力送り返すようにしている。もとはといえば、引っ越した時に転居通知を出さない前住人たちが悪いのであるが、本来配達する必要のないものを配達するとは、しかもその方が私宛の郵便より数が多いのだから、効率の悪いこと極まりない。
差出人欄には「If undelivered please return to...」と書いてあるので、配達不能な場合は郵便局または差出人の負担で差し戻しになるのだろう、と解釈した。
そこで、最初は差出人欄を黒のボールペンで囲み、ポストに投げ込んでいた。
ところが、同じものが数日後に私の玄関に届いている!という事態が何度か発生するに及んだ。
そこで今度は、封筒の余白に赤の太ペン
「この宛名の人はもうこの住所には住んでいません!差出人に戻してください!」と書き、封筒の裏に印字されている差出人住所をぐりっと太ペンで囲み、「ここ、ここに返送するんですよ!」と言わんばかりの矢印までつけてからポストに入れるようにした。
その功が奏したのか、古い住人宛の郵便物も最近はだいぶ減ってきた。
しかし、力を込めて赤ペンで書き込みをした封筒が再び配達された時の脱力感といったら・・・。
いったい、郵便局員は目が見えないんでしょうか。それともあの住所欄が見える透明な数センチ四方の窓だけしか目に入らないように教育されているんでしょうか。

それにしても、紛失、遅配、いつ行っても長い行列で待たされる窓口のサービスの悪さ・・・経営陣は改善策と目標値を打ち出したにもかかわらず、去年はひとつも達成されなかったらしい。去年1年間で、出したのに届かなかった郵便物は、たしか150万通近いと報道されていたと思う。信じられますか?郵政公社Royal Mailなんですよ?Royalなんて名乗るなと言いたい!
現在は独占状態の郵便業界も、近く日本と同じように民間企業が参入できるようになる。素晴らしいサービスをする会社が彗星のごとく登場して市場をかっさらうなんてことにはならないと思うが、せめて競争の原理に切磋琢磨されてRoyalの名に恥じない仕事をしてもらいたいものだ。

安心して信頼できるサービスを提供してくれる日本の郵便局、転居通知・転送サービスがあって、受取人の名前ベースで配達をする日本の郵便局、万歳!!

☆写真は、私の赤ペンが入った後の郵便物。